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秋田智弘

心のケアにも配慮した離婚・相続の相談を行う弁護士

秋田智弘(あきたともひろ)

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コラム

裁判官のストレス

身近な法律問題

2014年5月26日 / 2014年7月4日更新

 皆さんこんにちは。

 「春眠,暁を覚えず」と言いますが,読書で夜更かしばかりしている津田です。

 最近,「絶望の裁判所」(講談社現代新書)という本を読みました。33年間裁判官を務めた著者が,知られざる裁判所腐敗の実態を告発した書物です。裁判所「組織」と裁判官「個人」の双方について,著者の私的な体験を交えつつ分析し語られた内容でした。

 私も,裁判所に18年間勤務した経験があり,裁判所組織や裁判官個人を中で(裁判官の隣で)見てきた元書記官です。裁判所,裁判官批判の書物を前にして,同意できる記述と,これはすこしデフォルメしているかなと思われる記述とがありました。

 このうち,私が同意できるところは,裁判官の世界において精神衛生的な側面に対するケアが非常に遅れている事実です。言うまでもなく,裁判所には世の中の不幸な事件が集中します。これを扱う裁判官という人間には相当なストレスがのしかかります。しかしながら,「裁判官たる者,精神的な不調などということがあってはならない」という建前が非常に強いのです。

 もちろん,名古屋をはじめとした大規模な裁判所には産業医が勤務しており,カウンセリングの制度が一応できてはいます。しかし,私には,書記官ら一般職員はともかく,裁判官が裁判所組織のカウンセリングの制度を利用するとは到底思えません。

 それは,裁判官の任期は10年であり10年後に再任されるシステムであるため,裁判官が精神疾患をいったん抱えてしまい当局にその事実に伝わった場合,その裁判官が再任されることはとても困難な現状だと思われるからです。

 私が,弁護士を再び志したきっかけの一つは,自分の身近で裁判官や弁護士らの自殺が相次ぎ,このような現状でよいはずがないと感じたためです。仕事によって人の命が失われるほど悲しいことはありません。これを繰り返してはいけないと思います。

 また著者は,「本来,裁判官などという職業は,さまざまな人生経験を経て,酸いも甘いも相当程度噛み分けられるようになってから就くことが望ましい」といわゆる法曹一元制度への移行を図る提言をして,この書物をまとめています。人の運命を左右するこの職業は,精神的な負担が大き過ぎ,荷が重すぎ,裁判所・裁判官制度のトータルなあり方が根本的,抜本的に変わる必要性を提言しています。

 私は,大局的な制度設計について著者に異論はありません。もっとも,裁判官個人の観点からの分析については,果たして仕事によって人の命が失われる現状が改善されるのか疑問を感じました。

 なお,著者は近年の若手裁判官を「育ちがよくてものを知らない」,「元々が坊ちゃん,嬢ちゃんの優等生」と表現しています。(その表現の当否はともかく)私はその現状を否定するものではありません。
 同時に,長年裁判官の隣で働いてきた元書記官として,彼ら彼女らが「命を失うまで仕事を頑張らない」ことを切に願ってやまないのです。

 (弁護士 津田一史)

※ なお本コラムの内容は執筆担当弁護士の個人的見解であり,事務所としての見解を示すものではありません。





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