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コラム

全国から注文が入るようになった小さな町工場の簡単で地道なマーケティング!ホームページを賢く活用!

2022年10月11日

テーマ:中小零細企業のマーケティング

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: マーケティング戦略WEBマーケティング 基礎広告 マーケティング


日本全国から注文が入るようになった愛知県の小さな町工場が成功した簡単で地道なマーケティング戦略をご紹介します。
愛知県瀬戸市にある小さな町工場「前川製作所」さんは、地元を中心とした自動車関連製造業の下請け・孫請け工場でした。それが今では、日本全国の中堅製造業や商社などからネジの直接注文が入るようになりました。さらに英語版のホームページも作って海外進出の計画をしたり、もう一つ別のホームページ作って販路を拡大しようとしています。

ここに至るまでには、あることに気がつき、行動を起こし、ホームページやパンフレットなどの販促ツールをうまく活用しながら地道にマーケティングを行ったわけですが、それはごく当たり前のことを粛々と進めただけなのです。全然難しいことではありません。誰にでもできることです。ただ戦略を立て実行し続けたら製造業の小さな町工場でも実際に直接ホームページに問い合わせが入るようになりました。

では、具体的に何をしたのか?

まず、社長の前川さんはそれまでの下請け仕事から脱却するために新規営業をしたいと考えました。長年下請け仕事をし続けてきた製造業の方はなかなか新規営業をしようとするマインドにならない場合が多いようです。しかし前川社長は今後を考えると今のままではダメだと思い至り行動に移しました。

色々と製造業の業界のしがらみはあったようですが、少しだけ勇気を出して動いたわけです。難しいのはここだけです。決めて動く。それだけです。動き出すと確実に変わっていきます。精神論的でマーケティング論とは違いますが、どうしても重要なことです。そして、動き出したら粛々と実務をしていくのです。

営業ツールを作る

まず最初に営業ツール(会社案内パンフレット)を作りました。直接営業に行ったり、送ったり、配ったりするためです。ただ、実は営業ツールの会社案内パンフレットを使用することが重要ではなく、そのパンフレットを作る過程が重要になります。

会社案内パンフレットの内容を作るためには自社の見直し・棚卸をすることになります。商品やサービスの見直しですね。そうすると自社の「売り」「強み」を発見するわけです。営業ツールにはこの「売り」「強み」がどうしても必要になってきます。それを見つけるプロセスとしてはやはり客観的な視点を入れるのが一番早い。それとお客さんに聞くことです。

このパンフレット作りの際の自社の見直し作業はなかなかできるようでできないと思います。こういう機会をあえて作らないと難しい。つまり行動したことでその機会ができたという効果が現れたわけです。
 
今回社長は何を見つけたのかというと、それはネジの頭に六角形の穴を開ける「六角矢打ち」という技術であり、その六角穴が開いた六角穴付きボルトという商品です。業界の方でないと全然ピンとこないと思いますし、業界にいたとしてもかなりニッチなものなのですが、「六角矢打ち」というのは簡単に説明するとネジの頭に六角形の穴を開けるプレス加工の技術のことで、ガッチャンガッチャンと機械で穴を開けていきます。矢を撃つように穴を開けるので「六角矢打ち」と呼ばれるそうです。この技術は別に新しいものでもなく、昔からプレス工場で行われてきたものなのですが、これができる工場が高齢化でかなり減ってきていて、発注先を探している企業が結構あるということに気がつきました。

普通に昔から当たり前の業務として過ごしてきていたので気に留めていなかったのですが、同じ技術を持つ知り合いの会社が廃業して、そこが今までやっていた六角矢打ちの仕事をやってくれるところがないということで回ってきたり、他にも六角穴加工を旋盤などの他の技術でやっているところはあっても、矢打ち加工は低コストなので、見積もりを出すと安いと喜ばれたり、そういったことが少しずつ重なって、これは結構需要があるんじゃないかと気づいたのです。

「強み」「売り」を訴求する

この会社の「強み」「売り」はこの矢打ち加工だということが決まったのであとはそれを訴求するだけです。まず会社案内パンフレットを作り、ホームページを作り営業をする。
ホームページは作っただけではあまり意味がないのでSEO対策、リスティング広告などをうまく活用しながら情報発信を続けていくことが重要になります。この辺りは私などの専門家の分野ですのでそういった外部に発注するか、アドバイスを聞きながら自身で情報発信をコツコツやっている方もいらっしゃいます。
前川社長はそのあたりも任せていただきました。Google検索でキーワード「六角矢打ち」で上位を独占するまでになっています。

結果

「強み」「売り」である「六角矢打ち」というものが需要があるのかどうかというところは正直半信半疑でしたのでやってみないとわからない部分はやはりありました。そこはある程度リサーチや考察は必要だと思います。ただ行動しない選択肢はありません。失敗してもまた違うアプローチで動くということをやっていくことで必ず成果は出ます。
今回の場合、動き出してから数ヶ月後にはホームページ、会社案内パンフレット、製造実績集などのツールが完成し約半年ほどでホームページからの問い合わせが少しずつ入るようになりました。「六角矢打ち」という強みが需要とマッチしたということです。
その後も営業メールをしてみたり英語での販促ツールをつくったり、情報発信もコツコツ続けたり様々な行動はしていきました。そうすることで安定的な経営や日本全国からの受注にもつながっています。

日本の中小製造業は様々なものを作っています。工場ごとに独自の技術を持っていたりするのでそういった表に出てきていない情報をオープンにすることでそこにビジネスチャンスがあったりします。ですのでどんどん動いてほしい。そしてマーケティングの戦略、つまり「強み」「売り」をちゃんと見つけ出して伝えることが近道となります。

前川製作所さんのHP
https://www.maekawaseisakujo.com/

前川製作所さんのもう一つのHP
https://www.maekawasocketbolt.com/

この記事を書いたプロ

松尾益秀

“まちのデザインやさん” として中小企業をサポート

松尾益秀(T.M.P.)

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