コラム
建設業界で外国人が働ける職種とは?
2019年12月10日 公開 / 2021年1月7日更新
こんにちは。「外国人の活躍支援」をしているKUROFUNE株式会社の倉片です。
外国人を雇用している事務所が急増しているのが「建設業界」です。2012年には外国人を雇用している全業種の中で建設業が占めているのは3.9%しかありませんでしたが、2018年にはその割合が9.4%まで増えています。
東京オリンピックや中央リニア新幹線などの大型インフラの需要や全業種の中で最低レベルの有効求人倍率を背景に、今後も外国人採用が増えてくることが予想されます。
建設業界での外国人採用/定着のポイント
ただ外国人を採用する際には、「適切なビザ」を取得しなければなりません。もし適切なビザで仕事をさせなかった場合、不法就労に該当してしまい、懲役3年以下罰金300万円以下の刑罰に処せられる可能性があります。
今回この記事では、建設業界で外国人を採用する際に、どのような職種でどのようなビザを取ればいいのかをまとめてみます。ぜひ採用する際の参考にしてください。
まず建設業界で「正社員」として働くには4種類のビザが主なものとなります。
①永住ビザ
②技術・人文知識・国際業務ビザ
③技能実習生ビザ
④特定技能ビザ
①永住ビザ・・・全ての仕事の就労が可能
日本人と同等の就労ができるため建設業界のどんな仕事でも働くことができます。基本的には日本に10年以上住んでいることが条件となっているので、日本語も不自由なく話せる方が多くいます。
永住ビザで日本にいる方を多い順から並べると、
中国26万人
フィリピン13万人
ブラジル11万人
韓国7.1万人
ペルー3.4万人
となっています。
永住ビザは日本に慣れ親しんでおり、日本人と同等に働くことができるので、採用の難易度は日本人と同じくらい高いです。
②技術・人文知識・国際業務ビザ・・・設計業務/工程管理など
このビザを取得する要件として「大学卒業であること、あるいは日本の専門学校を卒業していること」が求められています。そのため現場での仕事は認められておらず、設計業務や工程管理、現場監督、技能実習生の通訳業務などの仕事に限られます。
技術・人文知識・国際業務ビザで日本にいる方を多い順に並べると、
中国8.2万人
ベトナム3.5万人
韓国2,4万人
台湾1.2万人
アメリカ0.9万人
となっています。
このビザで就労するには、日本に来ている留学生を新卒として採用する、現地にいる大学生を新卒として採用する、あるいは現在、技術・人文知識・国際業務ビザで働いている人を中途として採用するの3通りの方法があります。
このビザは10年以上働くと永住ビザに切り替えることもできるので、外国人もまずは10年日本企業で働きたいという方も多くいます。将来の会社を担う人材として採用したい場合は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」が最もふさわしいかと思われます。
上記に挙げていたような大卒レベルの仕事がこれから不足してくることが予想されるため、技術・人文知識・国際業務ビザの人材は建設業界にて今後は需要が急速に高まってくると予想されます。
③技能実習生ビザ・・・とび/左官//建設機械施工など22職種
このビザは「日本で技術・技能を学び、本国の発展に寄与する」ことを目的としています。あくまで日本で技術を学びに来ている研修の意味合いが強いビザとなります。
技能実習生は建設業界に関しては、22業種のみ就労が可能となっています。現場で働く職種がメインとなります。
・さく井
・建築板金
・冷凍空気調和機器施工
・建具製作
・建設大工
・型枠施工
・鉄筋施工
・とび
・石材施工
・タイル張り
・かわらぶき
・左官
・配管
・熱絶縁施工
・内装仕上げ施工
・サッシ施工
・防水施工
・コンクリート圧送施工
・ウェルポイント施工
・表装
・建設機械施工
・築炉
技能実習生で日本にいる方を多い順に並べると、
ベトナム16.5万人
中国7.8万人
フィリピン3万人
インドネシア2.7万人
タイ1万人
となっています。
技能実習生としては最大5年間(多くは3年間です)しか仕事ができないこと、また業種以外の仕事をすることが禁止されていることなど制限があるビザのため、当面の人手不足には対処できますが、長期的には人手不足を解消することはできません。
また入国時に日本語能力は問われないために、他のビザに比べて日本語能力が乏しい方も多く、社内での日本語コミュニケーションに不自由が生じがちです。
ただ建設業界では特に現場での人手不足が深刻であり(建設躯体工事の有効求人倍率は11倍超えです)建設業界での外国人採用はしばらくは技能実習生がメインになってくることが予想されます。
④特定技能ビザ・・・左官/鉄筋施工/内装仕上げなど11職種
2019年4月に新しくできたビザとなります。日本語能力試験に合格している方で、技能試験に合格した方、あるいは技能実習生として3年間以上勤務した方が特定技能のビザを取得することができます。日本政府として5年間に4万人の外国人を建設業界で受け入れることを想定しています。
特定技能ビザで建設業界で仕事ができるのは11業種のみです。これも現場で働く人が中心です。
・型枠施工
・左官
・コンクリート圧送
・トンネル推進工
・建設機械施工
・土工
・屋根ふき
・電気通信
・鉄筋施工
・鉄筋継手
・内装仕上げ
制度ができたばかりなのでまだ働いている人数は少ないですが、5年間で4万人の外国人の受け入れがあるのは確実かと思います。日本語能力があり、また技能についても勉強している方になるので企業からのニーズも高いかと思われます。
ただこのビザは転職可能となるのがネックです。そのため企業内で外国人の職場環境を整えなければすぐに離職に繋がります。特に日本人社員がすぐにやめて困っているという会社は環境も整っていない場合が多く、結局外国人採用でも失敗してしまうのではないでしょうか?
今回は建設業界において、どの職種にてどのビザを取得すれば良いのかをまとめてみました。
間違ったビザで就業させて「不法就労」に問われたり、ビザが下りなくて不利益を被ったりするケースを聞くことがあります。知らなかったでは済む話ではありません。外国人を雇用する以上最低限抑えていなければならない知識です。
もしビザ制度についてわからないことがある、あるいは外国人の雇用について具体的に相談したいという方がおりましたら是非ともKUROFUNE株式会社に一度ご相談ください!
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