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高度外国人材と人材不足の企業をマッチングさせる専門家

倉片稜(くらかたりょう) / 高度外国人材の活用コンサルタント

KUROFUNE株式会社

コラム

建設業界での外国人採用/定着のポイント

2019年11月25日 公開 / 2021年1月7日更新

テーマ:外国人定着

コラムカテゴリ:ビジネス

こんにちは。「外国人の活躍支援」をしているKUROFUNE株式会社の倉片です。


先日は愛知県江南市にて「建設業界」向けの外国人の活用セミナーについてお話させていただきました。その時に話させていただいたポイントを4つお伝えします。



まず最初に建設業界における現状です。
この数字は何を意味しているでしょうか?



建設業界での有効求人倍率です。
上が設計や土木の測量を行う職種について、
下が現場でのとびなどを行う職種についての倍率です。

有効求人倍率というのは、1人の応募に対して何社の求人があるのかを示しています。つまり設計を行う職種は7社に1社しか雇用できていない、とびなどの仕事を行う職種は11社に1社しか雇用できていない状況です。

これは今に始まったことではなく、2011年からずーっと有効求人倍率は上がっています。



実際の就業状況はどうなのでしょうか?

これは建設業界における、50歳以上の高齢者と29歳以下の若者の就業率を見たものです。注目すべきなのは、全産業の平均よりも若者の就業が少なくなり、高齢化が急速に高まっていることです。


よくお客様から、
「ウチの会社で人が雇えなくなった」
という話を聞きますが、これは建設業界全体として人手不足であると言えます。しかも若者の就業率が急落しているため、採用環境は年々悪化しているような状況です。




そのような状況で、新しく出てきた選択肢が「外国人の採用」です。
外国人労働者は2012年を境に急激に増えています。
2012年には68万人だったのですが、2018年には146万人まで増えています。

そんな中でも建設業界での伸びは顕著です。外国人を採用している会社のうち建設業者というのは、2012年には3.7%しかいなかったが、2018年には9.4%まで増えており、ついに20000事業所を超えました。外国人労働者の伸びを牽引しているのは建設業者であることがわかります。




横一線で急激に外国人採用が増加すると、起こりうることは次の2つです。
・外国人労働者の採用競争熱が高まる
・ノウハウ不足のため採用したけどマネジメントできない

そのため、建設業界では継続して事業を運営していくには、
①外国人の採用の準備を進めること
②外国人が離職しないような職場づくりを目指すこと
が大事になってきます。



①外国人の採用の準備を進める方法としては、
・人材紹介会社に依頼する
・求人媒体に掲載する
・日本語学校にアプローチして紹介してもらう
・母国に出向いてダイレクトリクルーティングを行う
など様々な方法が存在しています。
(是非とも困った際にはKUROFUNEに相談してくださいね!笑)


ただ同じくらい大事なのが「②外国人が離職しないような職場づくりを目指すこと」です。人手不足の時はいかにして人を確保するかという点に目がいきがちですが、入ってきた人が辞めないようにすること、つまり離職しないような職場づくりを目指すこともとても重要なのです。



外国人が離職しないような職場というのはどういうものでしょか?
それは外国人が仕事をする上、そして生活する上で困っていること(=離職のタネ)を早期に発見して、そしてそれに対処していくことだと考えています。つまり外国人が何に困っていて、何に不満を感じているのかを事前に把握していることが重要となります。



KUROFUNE株式会社はベトナム人を中心として、外国人の方が何に困っているのかを、オンラインでの調査、直接のヒアリングでの調査を通じて把握しようと努めてきました。今回は「仕事」に焦点を当てて外国人の方が日頃からどういったことに困っていて、どういったことに不満を感じているのかを4つのポイントでまとめています。



①職場内でのコミュニケーション



ほとんど全ての外国人は職場内でのコミュニケーションに不便さや不満を感じております。ネイティブでない方が日本人と同じようにコミュニケーションを取るのはやはり難しいですよね。特に仕事になると難しい単語や言い回しも出てくるので難易度も上がります。

そこで企業から効果的だった方法について3つ紹介します。
1.ゆっくり日本語を話すこと/わかりやすい言葉を使うこと
2.日本語の勉強をインセンティブにする
3.簡単な挨拶を現地語にしてみる


意外とできそうでできないのが「1:ゆっくり日本語を話すこと/わかりやすい言葉を使うこと」です。私自身も外国人と日本語で話す時は相手のレベルに応じてスピードを変えています。普段よりもゆっくりハキハキと話すことを心がけることが大事です。

「2:日本語の勉強をインセンティブにする」については人事制度に絡めてうまく機能しているところもありました。特に昇進条件やボーナスの要件などに組み入れることで勉強しようというインセンティブになります。ただ他の日本人社員との扱いに注意しなければなりません。



②仕事の指示の仕方



日本人は世界的に見ても非常にハイコンテクストな国民と言われています。そのため、日本流の指示の出し方が外国人には通じないことが多々あります。そのことに注意して業務指示を行わなければなりません。

効果的な方法は次の3つです
1.わかりやすいマニュアルを作成(写真付き/現地語対応)
2.指示をする時はできるだけ細かく直接行う
3.責任を明確にしておくこと



「1:わかりやすいマニュアルを作成」は外国人の定着に成功している企業はほとんど使っている手法といっても過言でないと思います。技能実習生であれば3年目の子が母国に帰る前に、正社員の方であれば昇進の条件として組み入れると特に効果的という話もありました。日本人が作るマニュアルよりもその仕事に従事した母国の先輩が作ったマニュアルの方が読み手にとっても、本人にとってもスキルアップに繋がるはずです。



③残業



外国人に日本人の働き方についてヒアリングを行うといつも盛り上がるのが「残業」についてです。働き方改革が国主導で行われるほど、日本人は残業が多い国民であると言われています。

効果的な方法は次の3つです。
1.全員が残業を喜んでやりたいわけでないことを知る
2.「固定残業制度」を設定している場合は事前に説明する
3.無駄な書類は無くしていく
4.業務連絡は休日にしすぎないこと



ビザの種類、個人の嗜好、家族の有無によって差はありますが、「1:全員が残業を喜んでやりたいわけではないことを知る」ことは非常に大事です。特に高度人材と言われる「技術・人文知識・国際業務ビザ」の方が転職の相談でKUROFUNEに連絡してくる主な理由の1つが、「残業を減らしたいから」です。家族との時間を大切にしている国は我々が思う以上に多くあります。

また「2:固定残業制度を設定している場合は事前に説明する」も非常に大切です。固定残業制度を知らずに、「残業しているのに残業代が払われていない」と相談を受けたケースもありました。しっかり納得してもらうまで説明しましょう。

「4:業務連絡は休日にしすぎないこと」も大切です。外国人の中には、休日は家族との時間を優先して、仕事の連絡を後回しにすることもあります。「会社からの連絡を最優先にしろ」と考えてしまうと、外国人との間に溝ができてしまうかもしれません。



④職務内容



職務内容の相違はKUROFUNEに最も来る相談です。しっかりと企業は設計しなければなりません。

効果的な方法は次の3つです。
1.入社前にしっかりと仕事の内容を伝える
2.研修期間や研修の目的などを説明する
3.キャリアプランを一緒に考えていくこと


お互いの相違をなくすためには事前にしっかりと伝えていくことが大事になります。職務内容だけでなく、研修やキャリアプランも伝えることが大切です。会社の決まりだからと簡単に説明するのでなく、目的なども話すと良いでしょう。



最後に何よりも大切なのが、気軽に相談できる体制を整えることです。
「何か困ったことがあったら相談して」といってもなかなか相談できないのが人間だと思います。ましてや外国人であればより相談はしにくいですよね。気軽に相談できるような体制を日頃から作っておくことが離職防止につながります。



いかがでしたでしょうか?
今回は「仕事」に焦点を当てて4つのポイントで紹介しました。歴史的な人手不足であるこの状況を乗り切るには、日本人を含めて外国人が離職しないような職場を作ることが大切です。まずは上に書いてあるポイントを含めて職場づくりをしてみませんか?


詳しく聞きたいという方がいましたら遠慮なくKUROFUNE株式会社にお問い合わせください!
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