コラム
外国人を雇用する上で大事なビザの制度
2019年10月17日 公開 / 2021年1月7日更新
こんにちは。「外国人の活躍支援」をしているKUROFUNE株式会社の倉片です。
外国人を採用する上で大事になってくるのがビザ(在留資格)の制度です。
ビザは日本に滞在するのに必要な資格となります。
何の目的で日本に来たのかによって取得するビザが変わってきます。
もしあまり制度を知らずに外国人を雇用すると、
不法就労やビザの不許可による内定取り消しなどが起こります。
外国人を雇用する上でビザの制度は最も大事です。
この記事を読んでビザの制度について少しでも参考になれればと思います。
現在、外国人の方に発給されるビザは何種類あるでしょうか?(KUROFUNE株式会社)
外国人の労働者は2018年の時点で146万人います。
主に4つのタイプのビザに分けることができます。
①身分・地位に基づく在留資格
②専門的・技術分野の在留資格
③技能実習
④資格外活動
グラフを見てわかる通り最も多いのは
①身分・地位に基づく在留資格で日本には約50万人の方がおります。
次に多いのは④資格外活動で約35万人、
そして③技能実習が約31万人、
②専門的・技術的分野の在留資格が約28万人と続きます。
この中で何も制限もなく雇用できるのが①身分・地位に基づく在留資格です。
聞き慣れたビザでいうと「永住ビザ」です。日本に10年以上住んでいる方が対象となるビザであり、日本人と同等に働くことを認めているビザです。職種の制限もなく働くことができます。
2番目に多い④資格外活動は、ほとんどが留学生のアルバイトです。
コンビニや飲食店に行くと外国人の方が接客したり調理したりしているのを見る機会が多いですよね。彼らは日本の学校に通うために来日している留学生であることが多いです。つまり留学ビザです。
留学生を雇用するときの注意点は、
資格外活動の時間は週に28時間までと決まっていることです。つまりアルバイトできるのは1週間に28時間までです。例外として夏休みや冬休みなどの長期休暇期間は週に40時間までのアルバイトが認められています。この28時間ルールは1社あたりではなく、すべてのアルバイトの時間を含めてであることに注意が必要です。
また資格外活動は、入国時に申請するもので、留学生の中には資格外活動の申請をしていない方がごく稀にいます。資格外活動の許可を得ていないのにアルバイトをさせることは禁止されています。
在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と表記があれば問題ありません。
(出典:出入国管理庁から引用)
この28時間ルールと資格外活動の許可ルールを破ってしまうと、雇用した会社は「不法就労」を行っているとして不法就労助長罪にあたります。3年以下の懲役に課せられるケースもあるので注意が必要です。
また28時間ルールを破った留学生の方は、不法就労したとしてビザが更新できなくなります。つまり強制帰国です。我々に相談に来た留学生で不法就労を行ったせいで泣く泣く帰国してしまった方を多数見てきました。中には卒業間近で内定をもらっていたにも関わらず28時間ルールを破っていたために強制帰国になり内定取り消しになった方もいました。ルールを知っていれば防げたことですね。
以上をまとめると資格外活動の留学生をアルバイトで雇う時の注意点として、
①28時間ルールを厳守すること
(兼業しているか聞いて28時間以内にする)
②資格外活動の許可を取っているか確認すること
の2点を挙げることができます。
③技能実習生は、80業種144作業において勤労が認められているビザとなります。
単純作業が認められているビザです。現地の送り出し機関経由で来日して、日本の受け入れ機関が研修を行う必要があり、研修が終わった後に雇用することができます。受け入れ機関は「団体管理型」と「企業単独型」の2つのタイプがあります。
技能実習生を受け入れる際の注意点としては、まずは受け入れる際に定めた作業に従事させることです。あくまでも日本で技術を学んで本国に帰ってその技術を活かす国際貢献の目的があるため、きちんと研修で定めた作業に従事させる必要があります。
もう一つの注意点としては、技能実習生の生活を満足できるものに設計することです。
技能実習生は比較的日本語をあまり話せない方が多くいます。
日本での生活をきちんとフォローしていかなければモチベーションの低下につながります。
以上をまとめると技能実習生を雇う時の注意点として、
①ビザ取得時に定めた作業に従事させること
②生活のサポートもしていくこと
の2点を挙げることができます。
技能実習生を採用し始めた時の困りごと(KUROFUNE株式会社)
最後に②専門的・技術分野の在留資格の大多数を占める「技術・人文知識・国際業務ビザ」です。
このビザは基本的に大卒以上が要件となり、高度人材として現在も採用の需要が高まっています。
技術・人文知識・国際業務ビザの人材を採用する際の注意点として、
単純労働が認められておらず、学校で学んだことと従事予定の仕事内容の関連性が挙げられます。
そしてこのビザを取得するのが難しいと言われる理由もこれによります。
例えば建設業界において認められている仕事は、
設計業務や現場監督などの管理業務、外国人の通訳業務などに限られてしまいます。そのため現場の作業員としてこのビザで雇用することは難しくビザが不許可になることもしばしばあります。
また上記のような仕事であれば、大学で建設について学んだ方しかビザを取得することができず、いくら本人がやりたいからと言っても、経済学部や国際学部などは大学で学んだこととの関連性がないためにビザが不許可になってしまいます。
したがって内定を出す前にビザがきちんと取ることができるかどうか確認することが大切になります。留学生の卒業シーズンになると、内定先でビザを取得することができずに困っているという相談が多発します。話を聞いてみると、上記のルールを守れていなかったということが多いです。
高度な外国人材を採用する際には、
①単純労働をする仕事ではないか確認する
②学んだこととの関連性があるかを確認する
ことが大切になってきます。
いかがでしたでしょうか?
ビザの制度はとても難しいものですが、きちんと理解した上で雇用しなければトラブルになったり、あるいは罪に問われたりしてしまいます。知らなかったでは済まないようにきちんと理解しておきましょう。
もし何か不明点やビザのことで聞きたいことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
正しい知識を持って外国人が活躍できるような環境を一緒に作っていきましょう。
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