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服部佳嗣己

就業規則作成や給与計算代行で企業を支える社会保険労務士

服部佳嗣己(はっとりかつみ) / 社会保険労務士

はっとり人事労務コンサルタンツ

コラム

月60時間超え 時間外割増の法改正

2023年1月11日

コラムカテゴリ:法律関連

いよいよ2023年4月から中小企業にも月60時間を超える法定時間外労働の割増率が50%以上となる法改正が施行されます。
(大企業は2010年に施行済み)
ポイントは以下の通りです。
①週1日の休日労働(いわゆる法定休日)は含まない
②月60時間を超えた時間帯に深夜残業をした場合は75%以上の割増率が必要
③月60時間を超えた25%以上の部分については代替休暇制度の導入が選択可能(通常の25%部分は残業代と支給しなければならない)
④代替休暇制度の導入には労使協定が必要(監督署への届出必要なし)
⑤代替休暇は月60時間を超える時間外労働が発生した月の末日から2か月以内に取得ができる
⑥代替休暇の単位は半日か1日単位(半日の単位は厳密に半分でなくても労使協定で定めることができる)

この法改正によって以下のことが懸念されます
①勤怠管理において月60時間超えの残業時間の把握と計算が煩雑になる
(法定休日の定めが就業規則である場合は良いが、そうでない場合は法定休日の特定も必要)
②代休や振替休日の管理と合わせるとさらに複雑になる
③代替休暇制度を導入する場合は、労働者本人の意思によるので意向確認が必要となる
④給与計算期限までに割増賃金の支払いか代替休暇の取得かの決定をする
⑤代替休暇の取得期限が約2か月あるので、管理が煩雑となる
⑥代替休暇に充てられない端数時間の管理や消化方法の管理が煩雑となる
など、給与計算業務や勤怠管理がかなり煩雑になりそうで、特に長時間労働や未消化の代休が多い企業は代替休暇制度の導入は懸念されそうです。

締日が末日でない会社の月60超えのカウント
法改正施行日が4月1日なので、末締めの会社は月60時間超えのカウントは給与締め期間で開始すれば問題ありませんが、
末締めでない会社は注意が必要です。
例えば毎月20日締めの会社は、3月21日~3月31日までと4月1日~4月20日までで集計を分ける必要があります。
3月31日までは月60時間超えても50%以上の割増率は必要ありません(物理的に考えてありえないかと思いますが)。
4月1日以降で集計した法定外労働時間が60時間を超えた部分のみ、50%以上の割増率の対象となります。
2020年からの残業時間上限規制もありますので(一部業種を除く)、現実には年6回の対応になるはずですが年度末に繁忙期がある企業にとっては注意が必要かもしれません。

実務的に準備しておくこと
改正法施行まで3カ月を切っていますが、社内で準備する事項を今一度確認しておく必要があります。
①自社の労働時間の再確認
月60時間を超える法定時間外労働があるか。あるのであれば人数、時間数その他傾向の分析。36協定の特別条項締結も確認
②自社の対応を検討
法定時間外労働の状況や代替休暇制度導入の検討。勤怠システムと給与計算フローの見直し。
③就業規則の改定
月60時間を超える法定時間外労働がある場合は、少なくとも50%以上(深夜帯は75%以上)の割増率の定めが必要。代替休暇制度を導入する場合はその定めも必要
④労使協定の準備
代替休暇制度を導入する場合は、労使協定が必要。代替休暇の時間数算出方法、代替休暇の範囲、代替休暇を与ええることができる期間、代替休暇取得日の決定方法、割増賃金の支払い日などを定める。

今回の法改正は、①月60時間超えの法定時間外労働に対して50%以上の割増賃金の支払いをする ②①に加えて代替休暇を与えるかがその内容ですが、昨今の法改正や国の施策要領を確認すると、構造的に長時間労働そのものを抑制する継続的な取り組みが今以上に必要になると思われます。

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