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「適切かつ誠実に」を基本理念に、年金受給の手続きをサポート

個人の公的年金を適正受給に導く社会保険労務士

稲波佐智代

稲波さま正面斜め
稲波さま正面

#chapter1

年金受給の誤解を丁寧に解説、一人一人の事情に即した手続きを手助け

 人々の生活を支える公的年金制度。老後の生活のためというだけでなく、さまざまな事情により生活に不安を抱える人にとって、自分や家族のための重要な基盤となるものです。
 
 「公的年金制度は生活者にとって、なくてはならないものですが、仕組みが複雑な上、数年ごとに制度変更を繰り返しているためにわかりづらいのも事実。請求が必要なので、受け取る権利があっても、実際には支給されていないケースも少なくありません」

 そう話すのは、社会保険労務士として20年近いキャリアを持つ稲波佐智代さん。社会保険労務士事務所や弁護士事務所での勤務を経て、金融機関の相談会や年金事務所で数千人にも及ぶ相談者に向き合ってきました。2021年、名古屋市瑞穂区の自宅の1室に、個人の年金相談・手続きサポートをメインとする「稲波佐智代 社会保険労務士事務所」を開設しました。

 「昭和35年4月2日~昭和37年4月1日生まれの女性の方は、特別支給の老齢厚生年金を受けとる権利が発生しますが、その年金を受けとってしまうと65歳からの年金支給額が減り、受け取らずにいると65歳からの支給額が増える』と誤解している人が多いようです。しかし、そのような仕組みはなく、62歳になったら年金の手続きをして受け取っていただくことになります。逆に年金には5年の時効があるため、期間を過ぎてしまうと後で受け取ることはできなくなってしまいます」

 他の年金手続きにも、同様の勘違いや請求漏れが散見されるとのこと。

 稲波さんは、制度の仕組みや手続きの流れを丁寧に解説するだけでなく、書類に記入する際に悩みがちな、普段使い慣れない文言の選び方まで細かくアドバイスしています。
 「煩雑な業務に嫌気がさして途中であきらめてしまうといった事態にならぬよう、適正な受給につなげています」

#chapter2

女性としての働き方を模索する中で見つけた、年金手続きのガイド役としての使命

 「いかに人生を楽しく生きるか」がテーマだった学生時代の稲波さん。希望を胸に社会人となった直後、目にしたのは、有能なビジネスパーソンだった女性たちが結婚、出産を境にそれまでのキャリアをあきらめざるを得ない現実でした。
 
 「育休や職場復帰も一般的ではなかった時代。女性がいちど職場を離れると、同じ条件下で勤め続けることは難しく、働き方や職種も今日ほど多様ではありませんでした」
 大手企業で安定した環境に身を置きながら、「自立して生きたいなら、性別や年齢に関係なく社会に通用する専門的な知識を身に付けなければ」と、「意識転換のスイッチ」が入ったそうです。

 手に職をつけたい一心で、社会保険労務士の資格取得を選択した稲波さんでしたが、実際に相談者と面談を重ねるうちに、数多くの人が制度の活用に戸惑っている現状を知ります。
 
 「さまざまな背景を持つ相談者一人一人に、時間と心を割いて応えられる専門機関や専門家がもっと必要なのではないか」
事務所を立ち上げ、個別相談をはじめ各種相談会やメディアへの登場と活動の場を広げます。
 
 一方、家族と過ごすひと時や自分自身を見つめリセットするシーンも大事にしているという稲波さん。
 「週単位の休日だけでなく、1日の内にもオンオフを分け、リセットタイムを設けています。特に中学生の娘には、仕事も家庭も大切にして輝いている背中を見せたいですね。私自身が充実していなければ、みなさんに寄り添うことはできませんから」

#chapter3

老後や万一のときのために、誰もが適正に受け取れるよう親身に対応

 稲波さんは「離婚した配偶者にも支給される分割年金制度をご存じない人も多い」と言います。
 「妻が夫の扶養家族であったとしても、婚姻期間中の厚生年金記録を分割できるもので、年金額が少ない妻の生活に大きく関わります。離婚に際しては共有財産を分けると思いますが、その中に年金も含まれるのです」
 運用は2007年から開始されているものの、制度そのものは認知度が低く、離婚後2年以内と定められている請求期間を超過してしまい、請求できなかった例も見られるようです。

 「また遺族年金は、故人の戸籍上の配偶者だけでなく、事実婚のパートナーでも認められることがあります。障害年金の対象となる疾病についても、透析や人工肛門のほか、うつ病や統合失調症といった精神障害が含まれることは、あまり知られていません」
 
 例を挙げるとキリがないという適用要件。その上、書類の不備があれば、何度も出し直さなければなりません。
 「年金の受給申請は、一生のうち、そう何度も経験するものではありませんし、高齢者にとっては手続きもひと苦労でしょう」

 稲波さんは、年金請求手続きのサポートを生業とするにあたり、「適切かつ誠実に」を基本理念として掲げています。
 「長期間にわたって納付してきた社会保険料。国民に等しく保障されている権利ですから、要件を満たしている限りは、誰もが手にできるはずなのです。老後や万一の時にも心穏やかにして暮らせるよう、しっかり受け取っていただきたいですね」

(取材年月:2022年8月)

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稲波佐智代

個人の公的年金を適正受給に導く社会保険労務士

稲波佐智代プロ

社会保険労務士

稲波佐智代 社会保険労務士事務所

社会保険労務士事務所や弁護士事務所の勤務経験を経て、年金事務所などで数千人にも及ぶ相談者に向き合う。個人の年金を適正に受給できるよう導くガイド役として、適切かつ誠実にサポートします。

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