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コラム

外国人の特別高度人材(J-Skip)について 他  メルマガ第225回、2023.12.1発行

2023年12月1日 公開 / 2023年12月3日更新

テーマ:過去のメルマガ、85号から

コラムカテゴリ:法律関連

外国人の特別高度人材(J-Skip)について 他
メルマガ第225回
2023.12.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>

行政書士の折本徹と申します。
1年納めの大相撲の九州場所が終わり、今年も残り1ヶ月となりました。
早いですね。
年初に計画を立てた人も立てなかった人も、終わり良ければすべて良し、
「12月は良かったな」と思える1ヶ月にしましょう。
コロナ感染者も増加の傾向にあるようですし、
インフルエンザも流行しているので、
無事にお過ごししてください。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。

・特別高度人材(J-Skip)について
・世界都市ランキング2023
・2023年版世界人材競争力指数


特別高度人材(J-Skip)について

外国人材は、大きく分けて
専門職・熟練技能職と非専門職・非熟練技能職の2つに分かれると言われています。
非専門職・非熟練技能職(在留資格で言えば「特定技能」「技能実習」)は、
申請の面倒さはともかく、幅広い分野に及んでいます。
専門職・熟練技能職(在留資格で言えば「高度専門職」「技術・人文知識・国際業務」
「技能」「医療」など)ですが、こちらも間口は広いですが、新しい制度ができました。

既に開始されているので(2023年4月から)、知っている人も多いと思います。
ウルトラ高度人材と言うべき外国人に、審査をシンプルにし、優遇措置も用意するので、
日本に来てもらおうという制度です。

ところで、前号で、「シンガポールは低熟練労働者向け就労ビザの拡大」を紹介しました。
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5145814/
低熟練労働者は人材獲得競争となっていくと思いますが、高度人材は既に獲得競争になり、
日本は負けているようです。

11月に、世界都市ランキング(森記念財団都市戦略研究所)で、
日本ではなく東京ですが、ロンドン、ニューヨークにつぐ3位にランクインしました。
8年連続だそうです。
課題として
「スタートアップ企業や企業人材の育成、外国人投資家の誘致」
が挙げられたようです。
居住や交通・アクセスの分野は良いし、物価も安いので、
住みやすいと思いますが、新たな価値の創出としては、やはり、人材獲得のようです。

その人材獲得ですが、ここ何年かはよろしくない状況にあるようで、
11月に発表された世界人材競争力指数(仏ビジネススクールのINSEAD[インシアード])では
134カ国中26位と前年の24位から順位を落としたそうです。
「日本の弱みは海外人材の獲得。高齢化で革新的な活動へ投資拡大が難しい。
若い人材が輩出されにくい状況が続いている」との指摘があり、
所得水準も他の先進国に比べてよくないようです。

高度IT人材の所得水準については、先進国だけではなく既に中国に負けていて、
データサイエンティストでは、中国は2,350万円(最高額)、日本は1,400万円。
データアーキテクストは、中国は2,350万円(最高額)、日本は1,800万円。
最近は、円安傾向とは言え、給与の待遇が生じているようです
(英人材サービス大手ヘイズの調べ)。

また、高度人材ではありませんが、日本は雇い負けの例が出始め、
インドネシアで、宿泊分野の特定技能向けの試験は、2,000人の募集のところを、
応募が1割にも満たなかったらしく、今後は(既に始まっているかもしれませんが)、
日本国内の人材すら取りこぼす可能性があるようです。

*以上、日本経済新聞に掲載されました。

本題に入りますが
日本では、以前から高度外国人材の許可を得やすくする、優遇措置を用意している、
制度はありますが、今般の新しい制度を、出入国在留管理庁のウェブサイトから
抜粋し見てみましょう。


既存の在留資格「高度専門職」


既存の制度である、在留資格「高度専門職」の対象には、外国人本人が日本で行う活動に応じて、
以下の3つの類型があります。

(1)「高度学術研究活動」
: 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動
(例 : 大学の教授や研究者等)

(2)「高度専門・技術活動」
: 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
(例 : 企業で新製品の開発等を行う者、国際弁護士等)

(3)「高度経営・管理活動」
: 本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
(例 : グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等)

(1)(2)(3)の活動をするためにの在留資格「高度専門職」を得る必要があります。
学歴や実務経験、日本語能力などでスコアをつけていくポイント制です。


新しい制度


既存の制度を踏まえて、新しい制度である、「特別高度人材」の許可要件ですが
上記の(1)~(3)の活動類型ごとに以下のとおりです。

(1)・(2)の活動類型
以下のいずれかを満たす方であること。
・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上
・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上

(3)の活動類型
・事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上

通常の「高度専門職」は「ポイント制」ですが、
「特別高度人材」は「年収」メインになる感じです。

それで、在留資格は既存と同じく「高度専門職」が付与される、ということです。

(特別高度人材として認められた場合、特別高度人材証明書が交付され、
また、在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載される)

特別高度人材の出入国在留管理上の優遇措置の内容ですが、
以下の優遇措置を受けられるようです。

・在留資格「高度専門職1号」の場合
1. 複合的な在留活動の許容
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 配偶者の就労
5. 一定の条件の下での親の帯同
6. 一定の条件の下での家事使用人の雇用
7. 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
8. 入国・在留手続の優先処理


ちなみに、在留資格「高度専門職2号」がありますが
⇒「高度専門職2号」は「高度専門職1号」(特別高度人材)で1年以上活動を行っていた外国人が移行できる在留資格です。

1.「高度専門職1号」の活動と併せて、ほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
2. 在留期間が無期限となる
3. 上記3から7までの優遇措置が受けられる
また、永住許可までに要する在留期間は「1年」となります。

「通常のポイント制の高度専門職」と「年収メインの特別高度人材の高度専門職」
在留資格は同じなので
混乱しそうですね、気を付けましょう。
下記、参考になると思います。

参考URL
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri01_00009.html

⇔高度外国人材 在留資格・高度専門職1号、2号 のリーフレット
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001655.pdf

それで、
(1)(2)の活動で年収が2,000万円以上を出せる企業になると、どのような企業でしょうか。
大企業の部長職が該当すると思いますが、
大企業以外で2,000万円以上出せる企業だと
外資系のコンサルタント企業、資金・資産運用企業、VC企業、フィンテック企業、
AI関連企業、IT関連企業、プラットフォーム企業、越境EC関連企業、
デジタルコンテンツ関係企業などでしょうか。

(3)は、上記の企業の役員でしょうか。
そして、学歴も良く、実務経験が豊富な外国人に来てもらう、というところでしょう。
上記のように、社員に年収2,000万円以上、役員に年収4,000万円以上を出せる企業
をたくさん海外からの誘致や、日本国内で出現してもらわなければなりませんね。

{その他の話題}
[外国人の暮らしの相談]
世界都市ランキング2023。日本経済新聞に掲載されましたので紹介します。
11月に、世界都市ランキング(森記念財団都市戦略研究所)で、
東京ですが、ロンドン、ニューヨークにつぐ3位にランクインしました。8年連続だそうです。
世界主要46都市が対象。
経済・文化交流・居住・環境・交通アクセスの6分野70指標で評価したそうです。
居住分野や交通アクセスの評価が高かったようです。
上位10都市です。ロンドン、ニューヨーク、東京、パリ、シンガポール、アムステルダム、
ソウル、ドバイ、メルボルン、ベルリンです。大阪は37位、福岡は42位だそうです。

[外国人とビジネス・商売]
2023年版の世界人材競争力指数。日本経済新聞に掲載されましたので、ご紹介します。
11月に発表された世界人材競争力指数(仏ビジネススクールのINSEAD[インシアード])では
134カ国中26位と前年の24位から順位を落としたそうです。
各国が技術革新や経済成長に貢献できる人材を開発・獲得・維持する力を制度や政策、
インフラなどの面から比較して指数化しているようです。
順位を落とした理由として、失業保険や再就職訓練の社会セーフティネットの悪化や
技術教育の評価が悪化したからだそうです。
「日本の弱みは海外人材の獲得。高齢化で革新的な活動へ投資拡大が難しい。
若い人材が輩出されにくい状況が続いている」との指摘があるようですが、
チームワークを大事にするので、突出した人が出てきにくい環境があるのかもしれませんね。
革新的、と言うより、似たようなことや既存のものの修正が得意、という感じがしますし。
社会セーフティネットは、今後の政策次第のように思います。
順位ですが、スイス、シンガポール、米国、デンマーク、オランダ、フィンランド、
ノルウェー、オーストラリア、スウェーデン、英国が上位10か国です。
ちなみに韓国は24位、中国は40位です。
必ずしも人口を含めて大国ではない欧州の国々がランクインしています。
なお、報酬をたくさんもらえた方が良いでしょうから、
新興国は所得水準が落ちるので、10位以内に入らないのは仕方がないでしょう。

現状では、東京都内は外国人の居住は多いのでは?と思いますし、
日本に住むことを希望する外国人も多いと推測します。
それでも、買われる日本、安い日本、という言葉を聞きますし、指標を見ると現実を突きつけられた感じはします。
今後は、様々な政策・制度を導入して日本全体で巻き返しをしていく、となるのかもしれません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は来年2月にお届けする予定です。
ここ数年、1月を除いて毎月1回、届けていますが、
今年も偶数月(2,4,6,8,10,12月)にお届けする予定です。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、20年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

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解除は 
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