衣笠詠子プロのご紹介
山田流箏曲の師範、研究者として、歴史から学べる箏と三味線の個人レッスンを展開(3/3)
教室を、一人一人の目標や願いをかなえる場所にしていきたい
長年にわたって箏曲に親しんできた衣笠さんは、歴史を学ぶことが未来につながると語ります。
「江戸時代は男性盲人のみ職業にできた箏曲が、明治初期に晴眼者と女性にも許され、初めて教習用の楽譜が作られました。後世に伝えるべく、箏曲の世界を変えた人たちがいるんです。今日本では、伝統音楽に携わる人の数が減っていますが、文化として継承していくためにも、必要なところは進化させて形を変えながら、良いものを未来に残していきたいです」
後進の育成については、本人から申し出があれば全力で応援するものの、自分から働きかけることは決してないとか。
「何を目指すかはご本人次第ですから、それぞれの目的や要望によって、何を教えるかを変えています。例えば音楽家を志す若い方には、やり抜く力や生きる力を育んであげたいですし、将来収入を得る方法を一緒に考えることもあります」
衣笠さんは数多くの人を迎え入れ、「わが子に礼儀作法を身につけてほしい」「奏者として上達したい」「趣味としてたしなみたい」など、さまざまなニーズに寄り添い、丁寧に手ほどきしています。
「今後このお教室が、一人一人の目標をかなえる『通り道』になるといいと思います。後から振り返って『あの時頑張ったな』と前向きになれて、時々は家族に会いに来るように顔を見せに立ち寄ってくれる、そんな場所になれたらと心から願っています」
(取材年月:2024年1月)
■衣笠詠子プロのプロフィールを見る