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食品会社の二代目社長の安全、健康、環境に配慮した食品作りを支援

食品会社の二代目をサポートする経営コンサルタント

槌田博

 「エコロフーズ・コンサルティング・カンパニー」代表で、経営コンサルタントの槌田博さん
食品会社2代目社長のコンサルに特化。食品の品質管理が専門。

#chapter1

生活協同組合で品質管理に従事した経験で、食品会社をサポート

 「エコロフーズ・コンサルティング・カンパニー」代表で、経営コンサルタントの槌田博さんは、食品業界の二代目社長に特化して、コンサルティングを行っています。大学院修了後、生活協同組合「生活クラブ」に入協。食品中の残留農薬や合成抗菌剤、放射能の分析測定、環境監査・自主監査の社内規約の整備と運用、HACCP導入、事故・クレーム対応など多方面から品質管理に関わってきました。

 そして2021年に独立。専門性の高い知見を生かし、「品質の確かな食品づくり」を支援しています。
 「今の食品業界は価格競争が激しく、安いものを大量に作って売る薄利多売型のビジネスモデルです。大量生産によって生まれる膨大なフードロスは、食資源の無駄遣いはもとより、焼却処理の過程でCO2を排出するなど地球環境に負荷をかけています。収益構造や環境保全の両面から、現状のビジネスモデルからは早く抜けるべきです」と槌田さん。そのためには、原材料の質が要だといいます。

 「本来、おいしいものは良い原材料から作るものです。化学調味料はうまみ成分なので、使えば使うほど味はよくなりますが、安易に使うことに疑問を感じています。本当のごちそうは、調味料などで味をごまかすのではなく、学問をベースに、安全で、健康で、環境に配慮した食べ物であるべき。食品の製造においては、自分で品質を見極め、複数のルートから原材料を仕入れる必要があり、そうしたサポートを行っていきたいと考えています」

 「エコロジー」と「フーズ」をかけた「エコロフーズ」という社名には、「エコロジカル(自然や環境との調和)」の意味も込められ、槌田さんの理念を表しています。

#chapter2

トレーサビリティシステムの構築で信頼される食品会社に

 槌田さんは、生産・流通の過程を追うトレーサビリティシステムも得意としています。
 「かつて、食品業界では産地偽装や消費期限の改ざんなどが相次いで発覚しました。万が一嫌疑をかけられた場合も、正真正銘の表示であることを説明できる仕組みづくりが大事です。原材料の購入履歴をはじめ製造工程の中で、証拠を残すために記録をとるべきポイントがいくつかあります。『自社では事故は起こさない』という姿勢を示すことは、買い手の納得につながり、商品を売り込むときも大きな強みになります。トレーサビリティシステムの構築は、原材料の質を高めることにもつながります」

 前職時代、ハチミツに糖分を添加しているのではないかと、メディアからハチミツ業界へ疑惑の目が向けられたことがありました。槌田さんは、提携会社において生産工程の記録帳票を整え、不正がないことを証明できる仕組みを構築した実績もあります。
 「例えば異物混入などの事故が発生して、問題を改善する仕組みが完成した時、生産者さんの自信にあふれた表情を見ることがやりがい」と話します。

 食品業界の二代目を対象にしているのも、30~40代の社長がトラブルなどで途方に暮れる姿を目の当たりにしてきて、なんとか力になりたいと思ったから。
 「私も家業を継ぐ重圧を感じてきた一人。祖父も父も学者で、私も学者になることを期待されて育ちました。結局、私は四苦八苦した後に方向転換をはかりましたが、この経験は中小企業の二代社長にも通じるものがあるはず。だからこそ、心に寄り添った支援ができると信じています」

 「安心安全な食」をテーマ講演会なども行っている

#chapter3

二代目社長が腹を割って話せるサロン開設を推進

 今後の目標として、槌田さんは製造者が集える「二代目若社長サロンを作りたい」と話します。
 「立派な先代社長がいた二代目ほど、力量の差に悩み、それゆえ社内の人間に相談することもできず、孤独です。異業種であれば、社長同士が腹を割って話したり、相談したりできるはず。互いに工場の衛生点検をしたり、勉強会を開いたりすることも構想中です。このサロンを組織化して、無農薬野菜を栽培するような生産者さんにアプローチしていくことも検討しています」

 大学で物理学を学び、大学院では環境基礎工学研究室に入った槌田さん。「常に、原因と結果で事象を捉えるという物理学の思考をもっています。この考え方をするともれがないのです。原理原則を見つけて対応することも身についていると思います」と、研究者らしい一面をのぞかせます。

 大学時代から養護施設で家庭教師のボランティアを行い、現在も地域の子どもたち向けの無料塾で講師を務めます。また、環境省の「化学と環境に関する政策対話」にも参画。これまでに著書「農業における大気汚染1992」(Amazon Kindle版)、共著「住まいにひそむ『農薬』がわかる本」(学陽書房)を出すなど活動は多彩です。

 「実は、温泉につかってのんびりすること一番の喜び」だそうですが、「なかなかそうも言っていられません」と笑います。
 「一人一人が大切にされるに世の中であってほしい。実現するために仕事もして、政治に関わり、ボランティアもしています。自分の総力を挙げて社会の役に立ちたいです。それによって自分の暮らしもよくなれば最高ですね」

(取材年月:2021年12月)

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槌田博

食品会社の二代目をサポートする経営コンサルタント

槌田博プロ

経営コンサルタント

エコロフーズ・コンサルティング・カンパニー

生活協同組合「生活クラブ」において、長年、品質管理に従事した経験から、トレーサビリティシステムの構築など専門性の高いサポートが可能。エコロジカルで高品質な原材料による食品製造を支援する。

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