理想の空間づくりをあきらめさせない、夢を形にする“工夢店”（2/3）

「絶対に妥協はしない」を信条に、依頼者のこだわりポイントをかなえるために工夫をこらす

　「小学5年生のとき、郊外の祖父の家に遊びに行くと、もともと大工職人だった祖父が納屋を建てているところでした。はしごで屋根に上り、祖父に教わりながら、ワクワクしてクギ打ちをさせてもらったんです」と谷さん。

　「高いところが苦手だった父と違って、平気な顔で生き生きとしている私の姿に、祖父がとても喜んでくれたのを覚えています。うれしそうな様子を見て『自分も家を作る人になりたい』という気持ちがしっかりと芽生えたんです」

　目標に向かって、まっすぐに突き進む生来の性格そのままに、地元の工業高校を卒業すると同時に、国土交通省の支援で始まった「大工育成塾」へ。3年間の研修期間には、地元徳島の工務店で実技指導を受けながら、月に1度は大阪での講義や実習などを経験しました。

　「卒業後は実習先の棟梁のもとに赴き、実地を通じて勉強させてもらいました。日々、研さんを積む中で投げかけられたのが、『絶対に妥協はするな』という言葉。今でも仕事をする上の心得として、胸に深く刻んでいます」と表情を引き締めます。

　「住まいは暮らしを楽しむ場所。お客さまにも理想をあきらめてほしくない」と、依頼主へのヒアリングを大切にしている谷さん。技術的に難しい内容であっても簡単に断念せず、他の方法を探るための努力は惜しみません。
　「お客さまの『これだけは外せない』というこだわりを見つけて、それをかなえるために、多少時間はかかってもコツコツと丁寧な作業で実現を目指します」

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