子どもの「学力・知力」を育てる

仙波誉子

防災教育を通して「生き抜く力」を育てる

消防・防災のプロ 仙波誉子 [ プロフィール ]

日本はかつてより世界の中でも自然災害の多い国だといわれています。近い将来においても大規模な地震が予測されており、台風や火山噴火などの自然災害も起きる可能性が十分にあります。私たちは「一瞬にして人命や生活の場を失いかねない」という大きなリスクを抱えながら生活しているのです。21世紀の災害に向かい合っていかねばならない子どもたちにとって、防災をもっと身近なものとして浸透させ、地域の防災力を高めるために家庭、学校、地域で防災教育を受ける機会を設けることが必要だと考えます。

防災教育とは、地震発生のアナウンスに合わせて、全校生徒が机の下に隠れ、グランドに整列して点呼するような、防災訓練を意味するものではありません。防災教育では、まずは自然災害の多い我が国における災害のメカニズムを学ぶことが肝要です。次に自分が住み慣れた街の構造や、その土地ならではの災害文化を知ることが大切なのです。もし、災害が発生した場合に、どうすれば自分自身や家族を守り、少しでも犠牲者を出さないようにできるのか。そして万が一のときの対応のノウハウに加え、思考力・判断力を養うことも必要です。それには防災ゲームや関連施設の見学による災害の擬似体験をしたり、防災関係者や災害体験者の話を聞くなどを通じて学ぶことも効果的でしょう。

つまり防災教育は、自分が住んでいる街を知り、災害から自分や家族を守る力を身につけ、生き抜く力を育てるということです。それは郷土への愛や社会とのかかわりにおける気遣い、助け合う心、命の尊さを自分の問題として考える場になります。そして防災教育を幼児期から成人に至るまで継続的に行い、日常的なものにまで浸透させることが大切なのです。自然災害の発生を止めることはできませんが、被害を軽減する「減災」は可能です。今こそ次世代を担う子どもたちへの防災教育に取り組み、生き抜く力を育てるときではないでしょうか。

消防・防災のプロ  仙波誉子 [マイベストプロ愛媛]

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