中小企業・個人事業者を取り巻く多様なリスクに備えるには？（3/3）

経営者や従業員が安心して働ける体制づくりで、持続可能な企業を目指す

　朝久さんは、29歳で保険業界に進みました。損害保険代理店で17年勤務し、自動車保険や火災保険などの実務を積みました。起業のきっかけは、1996年の保険業法改正で、それまで禁じられていた損保・生保の兼営が認められたことでした。
　「当初は生命保険に力を入れ、独立を目指しました。結婚や出産など未来予想図を描き、人の一生を見通して提案できることに魅力を感じました」

　複数社を扱う保険代理店としてスタートし、2001年に来店型保険ショップを開設。「各社のメリットとデメリットを比較して選べるようにしました。今は当たり前となったスタイルですが、当時は画期的でした」

　創業から長く付き合いのある顧客も多く、代替わりに立ち合うことも。
　「20年近く担当していた社長さんが、ご子息に事業を引き継ぐことに。これまでを振り返り、『小さな事故はたくさんあったけど、会社を揺るがす大きなトラブルはなかった。保険料は決して安くはないが、安心して経営に専念できる必要経費だね』と。本来、保険は役に立たない方がいいものです。保険の出番がないのは、平穏な日々の証。『結局、ムダになったよ』と笑顔で言ってもらえるとうれしいですね」と朝久さん。

　「自分にはリスクなんて関係ないと思っている人は少なくありませんが、地震や津波をはじめ、危機は突発的に起こります。特に経営者は自身だけでなく、社員やその家族の生活も守らなければいけません。心配ごとに少しずつ備え、持続可能な企業を目指しましょう」

（取材年月：2023年3月）

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