マイベストプロ長崎
西田英治

「噛み合わせ」から健康へ導く「健口」のプロ

西田英治(にしだえいじ) / 歯科医

にしだ歯科医院

コラム

カンジダ菌にお悩みの方へ

2023年11月6日

テーマ:カビ カンジダ 口呼吸 免疫力

コラムカテゴリ:美容・健康

 歯科医師がなぜカンジダ菌を?と思われるかもしれませんが、カンジダ菌は口の中で口腔カンジダ症や口角炎の原因菌として、歯科医にとって結構なじみのある細菌です。

この題名でコラムを読んでいる方でしたらご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、カンジダ菌は菌とは言うものの実はカビ(真菌)の一種で、水虫などと同じ仲間です。

また、カンジダ菌は人の常在菌として日本人だと(高温多湿の地域に住んでいるという意味で)ほとんどの人が感染している細菌ではないでしょうか?さらに、菌の悪性度としては悪玉ではなく日和見菌として分類されており健康な(免疫力がある)状態ではそれほど害がないと考えられています。(腸内細菌の専門家の間では、善玉菌、悪玉菌、日和見菌としての分類はなくなってきているようです)

今回このコラムを書く目的は、最近発見された歯周病発症メカニズムと同じメカニズムがカンジダにも該当するため、カンジダをコントロールするには口腔内も同時にコントロールした方が効果的だと考えその理由も込めてお伝えしたいと考えたからです。

治療目的の場合は医師の指導の下、抗真菌薬の処方などを受けていただきながら、また治療後やご自身の健康法としてカンジダ対策を図っている方には、より効果を出すための考え方として参考にしていただけたらとおもいます。

 では、新発見のメカニズムの核心につながる質問を1つ
「あなたは朝起きてすぐにハミガキをしますか?朝食や飲み物を飲む前にハミガキもしくはうがいをしますか?」

もし、答えが「しない」(=No)であるならカンジダ対策のためには起きてすぐ歯みがきをすることを強くお勧めいたします。うがいであればできるだけしっかり、できれば有効な洗口液を用いるといいと思います。

このカンジダ対策の根拠となる新発見の歯周病発症メカニズムについてご説明いたします。とはいえ、このメカニズムは当然のことながら私が発見したものではなく腸管免疫に詳しい医師で福岡歯科大学の田中芳彦教授の発見です。

歯周病の話ですので論文そのまま歯周病原菌であるP.g菌(ポルフィロモナス ジンジバリス)でお話しします。
これまで、歯周病は歯周病原菌であるP.g菌などの細菌が口腔内に感染し歯肉に入り込んで炎症を起こすと考えられていました。
50代以上の方には懐かしい、リンゴをかじって歯ぐきから出血したら○○歯みがきというコマーシャルがありましたが歯肉からの出血が炎症の始まりです。炎症が広がると膿が出るので俗称としては歯ぐきから膿が漏れる「歯槽膿漏」ともいわれます。そして、これまでの歯周病発症や悪化のメカニズムのポイントとは感染した場所で菌に対して免疫反応を起こして炎症を起こしているという考えです。

一方、新しく発見されたメカニズムでは口腔内で増えた病原菌が食べ物と一緒に腸に運ばれ、①P.g菌が腸壁にある門(M細胞)を通過し②壁の門番的な役割の樹状細胞が「外敵=異物」であることを免疫細胞(Th17)に伝え、③活性化された免疫細胞が全身へ外敵(侵入者)の見回りに・・・④口腔内の歯肉にて腸で伝えられた通りの外敵を発見して攻撃=炎症反応というわけです。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、要は感染した口腔内ではなく腸内(腸管免疫の場)で外敵であることの判定と免疫細胞の活性化が行われているという点で従来のメカニズムとの違いがあります。
さらに驚くべきは①の腸管の内側=食べ物が通る側にはセグメント細菌といわれる腸内細菌の連鎖?紐?みたいな細菌がM細胞へ通過させるときの1次チェックの役割まで果たしているとのことです。(セグメント細菌についてはまだ研究途中のようで、どのような菌で構成されているか?不明な点も多いようです)

なんとなくイメージできましたか?
では、カンジダ菌がどのようにこのメカニズムと関係しているのでしょう?
その答えはズバリ、M細胞を通過するのが「細菌、カビ、ウィルス」という点にあります。

健康な人にとっては日和見菌であるカンジダ菌も、寝ている間に確実に増えてきているはずです。それを知らずに朝食と一緒に飲み込んでしまい、免疫細胞を活性化しているとしたら・・・・腸で活性化された免疫細胞が口の中はじめカラダ中でカンジダ菌の侵入を探し回っているわけです。
カンジダ菌に悩む方にとっては非常に大きな問題ではないでしょうか?

カンジダ菌は腸カンジダや膣カンジダが問題になりやすく、腸の除菌(抗真菌薬)や食事療法、プロバイオティクスなど腸へのアプローチが主流のようですので、もしこれらに取り組まれるとしたらそれと合わせて
・口腔内のカンジダ対策(カンジダ対策歯磨剤、プロバイオティクス、オイルプリングなど)
・寝起きすぐの歯みがきもしくは口腔クレンジング


なども取り入れてみてはいかがでしょうか?

腸活や腸内細菌検査のカウンセラーとしての情報も織り交ぜてお伝えいたしましたが、本業の歯科医師としてもう一つ、
カンジダ菌は鉄つまり「血液」が好物です。歯肉の炎症はないに越したことはありません。ご自身の日ごろからの健康増進のためにも、「寝起きの歯みがき」に加え、かかりつけ歯科での歯周病治療と予防、メインテナンスを強くおススメいたします。

新しい発見で、今まで聞いていたこととも違い少し難しかったかもしれませんが質問等ございましたらお気軽にお尋ねください

この記事を書いたプロ

西田英治

「噛み合わせ」から健康へ導く「健口」のプロ

西田英治(にしだ歯科医院)

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