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【この床 冷たっ!】床の裏側、床断熱材をみてみよう。

2022年2月26日

テーマ:断熱リフォーム

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: DIY断熱材 DIY断熱材 効果

寒い寒い2月もようやく終わります。
日中は10℃前後まで気温が上がってまいりました。
春の気配、濃厚です!

それにしても今年の冬は寒かったですね。
雪の量もさることながら、朝晩の気温は例年に比べ平均2~3℃低かったのではないでしょうか?
足の裏は体のなかで唯一、常に物体(床)に触れる部分ですから、床の表面温度が人間の体感温度に大きく関係しています。

理想的な床表面温度は23~24℃だと言われていますが、みなさんのお宅ではどうでしょうか?
床暖房が導入されているお宅では30℃近くにまでなっていることも少なくなく、かかとがひび割れしたり、床材(フローリング)が乾燥収縮して反りやスキが大きくなってしまったりと、温度が高いのも考えものです。

床下調査でみえてくるもの

建物の耐震性や劣化診断で床下に潜ることが多いのですが、みなさんは自分の家の床下を覗いたことがありますか?
暗い・臭い・コワいの生理的3Kがそこにありますので、普通の方はほとんど見たことがないと思います。
ちょっと覗いてみましょう。
床に断熱材がない
家主さんに報告しても信じてもらえないことが多いのですが、「断熱材がない」ことがけっこうあります。
特に和室の畳の下。
畳が断熱材だといわんばかりで、私が調査した昭和の住宅では半数以上が和室の床は無断熱です。

床グラスウール断熱材50㎜Ⅲ

黄色い物体が圧縮成形されたグラスウール断熱材です。
厚さは50㎜あり、落下防止の釘によって脱落もあまりなかったのですが、見えないところであるが故、ご覧のように一部断熱材が無いことが多くみられます。

洗濯機排水の直下

床には配管が貫通しているところが多々あります。この画像は洗濯機の排水口の直下ですが、当然のように断熱材が欠きとられています。
洗濯機が置かれている脱衣室は、文字通り裸になるところですから、家の中で最も暖かくなっていないといけない、のにです。

床グラスウール断熱材50㎜
床グラスウール断熱材50㎜Ⅱ

最もよく見かけるのがこの感じ。
袋入りのグラスウール断熱材(50㎜)が根太(ねだ~床の骨組み)の間に入っています。
グラスウールはいわば綿あめのような素材ですから、床下の湿気を含んで重くなりだらりと垂れ下がっている傾向にあります。
決して目にすることがないが故、断熱材の詰め方も雑に入っていることが多いと感じています。

階段の直下

階段の登り口の直下も断熱材がなく、階段の裏側が床下にあらわしになってしまっていることも多く見かけます。
床下は屋外の空気が出入りして換気しているわけですが、地熱の影響もあり、氷点下にはなかなかなりません。
それでも常時空気が流入・流出しているので、この時期は3~4℃の気温になっています。
床板や階段板の裏側がこの冷たい空気に触れているわけなので、人体温度が35℃もある足の裏は32~32℃だとしても、
当然ながら「冷たっ」と感じるわけです。

ボード状断熱材

住宅の省エネや健康快適性が叫ばれている現代では、工務店・ハウスメーカーではずいぶん改善されました。
発泡スチロール的なボード状断熱材が最低でも50㎜以上であることがほとんどだと思います。
ボード状断熱材は湿気に強いとされており、断熱性能も比較的高い、工事も簡単(大工さんがやることが多い)なので、多く普及しています。
しかし床は歩行によって振動も多く、また下地となる根太(ねだ)と根太の間にパズルのようにはめ込んでいるので、少なからず隙間が多くできていることも少なくありません。

高性能グラスウール断熱材245㎜

「床の断熱材は何が最適なのか?」というご質問をよくいただきますが、落ちないよう、隙間なく詰めることができればどんな断熱材でも構いません。
ただ、床下はシロアリの発生も懸念があり、床組み材である木材もしなったり、ねじれたりすることがありますので、私はふわっとした無機材のもの(グラスウールやロックウール)をお勧めしています。
グラスウールは最も安価で、だれでも、どこでも入手できる良材なのですが、垂れ防止対策にひと手間かかります。
厚さの確保も大事なポイントで、グラスウール断熱材であれば最低でも100㎜(10cm)以上ないと省エネ住宅になりえないと思いますが、
そうなると今度は床下空間が狭くなって点検作業に支障をきたします。
※私が設計する住宅では高性能グラスウール密度16K品を245㎜詰めています。

気流壁に走る

さらに床下を調査していると、断熱材が途切れてしまっているところをよく見かけます。
室内の間仕切り壁の直下がそれで、大きく口をあけて、床下の冷たい空気が次々と壁の中にすいこまれていきます。

間仕切り中
デジカメを差し込んで上向きに撮影したのがこの画像。
このトンネルの先は2階の床裏面にまで到達しています。

はだし

床の断熱材を厚く、隙間なく埋めると、裸足でも十分暮らせます。
無垢フローリングの表面温度は、室温とほぼ同じで21~22℃ですが、冷たく感じることはありません。

トライ! 床の断熱リフォーム


床下から作業
床下断熱材吹込み

床下空間が40cmほどあれば、なんとか床下から断熱材を追加できます。
この場合は吹込み型で長いホースを使って、あらかじめ貼った落下防止ネットの中に断熱材を追加しています。
床下空間がない場合や、床が上がってしまってもよければ、今の床の上にさらに断熱材入りの床をつくる方法がおすすめです。

床組みさらに
床の上にもう一度床

DIYで床断熱が出来ないのか?
そんな声にお応えして、おばちゃんがトライした動画を紹介します。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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