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下田茂

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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

地方企業を活かす知財戦略…(14)

2016年3月19日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:地方企業と知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

知的財産権は「利用」してこそ活きるもの

 特許権等の知的財産権には、「保護」と「利用」の二つの側面があります。
 「特許(特許権)」は、発明や新技術がキーワードになるため、企業では、どうしても「開発部」や「技術部」が関係し、「製造部」や「営業部」はあまり関係しないというイメージになりがちです。
 確かに、特許は、発明や新技術を、他社に真似されないように「保護」する力を持つため、このイメージも当然といえます。
 しかし、「保護」だけでは片手落ちです。「利用」の観点からは「営業部」や「宣伝部」が大きく関係してきます。反対に、「開発部(技術部)」はあまり関係しなくなります。
 この点は、「特許権」が生まれてから亡くなるまでの一生を見ればよく分かります。「特許権」が生まれるまでは、「開発部(技術部)」が携わりますが、「特許権」が生まれた後は、通常、「開発部(技術部)」から離れ、「知財部(知財セクション)」等の管理下に移行します。そして、その後は、亡くなるまで管理されます。この管理下の期間が「利用」の領域になり、この領域は出願日から20年間にも及びます。
 「知的財産権」は、「保護」するだけでは何も生まれません。「利用」してこそ生かすことができ、「保護」と「利用」の二つの側面を充実させることが重要になります。しかし、日本の場合、利用していない特許、いわゆる休眠特許は、使用している特許の2倍はあるといわれています。
 「保護」と「利用」のイメージは、「商標権」が分かり易いと思います。
 企業では、社長、あるいは商品企画部といった部門で、新商品の企画を立て、新しいネーミングを決定します。そして、このネーミングは「商標権」として登録し、他社に真似されないように「保護」します。
 一方、このネーミング(商標権)を利用するのは、広告宣伝部や営業部といった部門になります。
 例えば、営業の人から、「これが我が社の新しいお蕎麦です」と言われても、あまり引き付けられるものはありません。
 これに対して、「今、TVで宣伝している◎◎◎という新しいお蕎麦です」と言われれば、直ぐに理解でき、興味もそそられるとともに、最終的に購入意欲にもつながります。まさに、ネーミング(商標権)の力を「利用」することになります。
 「特許権」も同様の知的財産権ですが、「特許権」の場合、「保護」に関する認識は高いものの、「利用」に関する認識は低いように感じています。「特許権」を取得した以上、ぜひ「利用」の側面にも真剣に目を向けてほしいと思います。
 なお、「特許権」の「利用(活用)」について、分からないことなどがありましたなら、いつでもご遠慮なくご相談下さい。

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