先代から続く「清掃を通じて喜びと感動を届けたい」の思いでサービスを展開（2/3）

「ありがたい」と常に感謝を忘れない父の言葉を胸に再出発

　政野さんは2010年から8年間、コールセンターの管理職として人材育成に携わっていました。マネジメントした社員数は総勢700人に及ぶとか。「一人一人の課題と、能力を発揮できる配置を考える日々でした。今はお客さまが抱える悩みは何か、それを解消する方法は何かを追及しています。前職で得た観察力や考察力が役に立っています」

　子育てとの両立に限界を感じて退職したタイミングで、実家を手伝うように。勝則さんが職務を退くこととなったとき、次期代表を名乗り出たのは母の松子さんでした。「母をサポートすることで父が育てた会社を守りたい」と、2020年から正式に家業に入りました。

　「創業時、私は小学5年生でした。覚えているのは『ありがたい』と笑う父の姿です。毎日のように『お客さまがいることに感謝し、お役に立つことで喜んでもらいたい』と話していました」

　顧客満足を一番に考える姿勢は当時から変わりません。「ある店舗のガラス清掃では、水あかで向こうの風景が見えないほど曇っていました。スタッフは納得がいくまで料金を受け取ることなく、約1カ月間、何度も足を運びました。丁寧に拭き取り、機械を替え、薬剤を替えてと試行錯誤の末、本来の美しさを取り戻したガラスを目にしたときのお客さまの表情は、今でも忘れられません」

　政野さんはできる限り客先に同行。提案内容と実作業のズレを防ぐためにスタッフとともに業務にあたり、顧客の求めることや現場での問題点をクリアにしていくそうです。

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