確かな指導力で子どもの能力を伸ばし、聴く人が幸せになれる音楽を広めたい（2/3）

音楽を通して育てる、子どもの「見る力」「聴く力」「考える力」

　田中さんが音楽指導員として関わっている打越保育園（東京・八王子市）と子育て支援の家「OHANA」（相模原市中央区上溝）では、「ミュージックステップ」という画期的な教育プログラムが採り入れられています。これは、リトミック・リズム・鍵盤・絶対音感などの音楽教育はもちろん、国語や算数もカリキュラムに組み込んだ幼児向けの総合的な教育法として、昨今注目を集めています。また、虹ヶ丘幼稚園（相模原市）では園の要望に応じて、お子さん一人一人が楽しく学習できるように、田中さんご自身がカリキュラム作成も担当。

　「幼児期に絶対音感を持ち、感じることを十分に行うと、左脳も大きく発達して、考える分野が大きく広がる」という科学研究に基づいたこのプログラムでは、例えば目隠しをしながら演奏することで聴覚を伸ばし音感を育てたり、難しい漢字でも視覚的に捉えて理解を促したりする方法を通して、理論的に考える力を養います。それぞれのお子さんに備わっている「見る力」「聴く力」「考える力」を伸ばせば、きちんと物事をこなし、集団生活になじむ社会性も自然と身に付いていくというわけです。なんと、人気歌手の安室奈美恵さんも、幼少の頃にミュージックステップを学んでいたのだとか。

　現在、主に全国各地の幼稚園でこの教育プログラムが普及していますが、音楽教室の中で学べるのは、大変珍しいそうです。幼児の柔軟な特性を最大限に生かして、潜在的な可能性を引き出せるミュージックステップに、今後の音楽教育に大きな期待が寄せられます。

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