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北條智之

口腔インプラント学の修士号を持つプロ

北條智之(ほうじょうともゆき) / 歯科医師

北上インプラントデンタルオフィス

コラム

口腔内写真を撮り続けること

2023年6月5日 公開 / 2023年12月29日更新

テーマ:歯医者

コラムカテゴリ:医療・病院

2002年より当院では口腔内写真をデジタルで記録・収集しています。口腔内写真は撮る際の院内ルールを決めており、「1年に1度は必ず撮影する」ことと「治療ステップ毎に撮影する」ことです。とくに、治療ステップ毎の撮影となると治療期間や内容によっては膨大な数の写真を撮影することになります。症例によっては使用する治療器具も撮影しています。口腔内写真撮影は治療行為を客観的資料として保存することに違いありませんがそれだけが目的ではありません。当院の目的は、大きく2つあります。1つは、自ら立案した治療計画がその後、どう経過していったかを知ることで治療計画立案の習熟が図れるということ。もう1つは、長期経過を記録することで自院で行った治療がその後どうなったのかを把握し、10年後20年後の結果を考察するためです。

詳しく説明していきます。1つ目の治療内容・計画立案の習熟とはどういうことなのか。歯科治療の特徴としてオーダーメイドであるということが挙げられます。例えば被せものですが、医科の内服薬のように処方することができません。患者さんひとりひとりに合わせて材質から形まで細かく作りこんで初めて患者さんにお渡しできます。入れ歯や矯正治療に使う装置の一部も同じです。1つとして同じものがなく、世界に1つだけですから完全にオーダーメイドの世界です。といっても、ある程度製作にはルールがあったり、基準があったりします。そういった製作物に関するルールや基準は明文化されている部分と明文化されていない経験則の部分とに分かれています。明文化できないか、明文化しづらい勘所のようなことは記録を残し、複数の症例を比較・検討するしか学びようがありません。そういった場面で、治療ステップごとに写真を残すことは参考になるのです。

2つ目の長期経過を把握することですが、これも1つ目に似ていますが10~20年後に実際に行った歯科治療がその後どうなるのかを知ることで治療のゴールを明確に想像して歯科治療に取り組むことができるようになります。歯科治療にも教科書があり、もちろんその通りに進めることが大切ですが、臨床の現場ではしばしば教科書通りにはいかないことがあります。その際に、考えるべきことは治療のゴールをできるだけ具体的に想起しておくことです。自分で撮影し、残してきた記録は教科書や論文などとは違ったインパクトをもって自分自身に語りかけてくれます。なぜならば、自分で記録・収集した口腔内写真はいい結果も悪い結果も含めてその時々の臨床の判断の連続から生れたものだからです。もしかしたら大雪で患者さんが通院できず「教科書通り」治療できなかったかもしれませんし、話し合いの結果、教科書通り進めないことになったかもしれません。その都度、事情は違いますが経過した患者さんを毎日振り返ることで進むべき治療のゴールをより具体的に示していけます。

以上の考え方から、私は口腔内写真を何よりも重要視しています。ある患者さんで、口腔内写真撮影を拒否された方がおりました。私は現在の状況を記録・保存し、なおかつ治療の途中経過を記録・保存することの一環として口腔内写真は必須と考えております。しかし、この考え方は絶対的なものではありませんので、当院の考え方に賛同していただいた上で治療を受けられるようにお願いいたします。

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