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井上健(いのうえけん) / 内科医

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コラム

頭痛の原因は睡眠不足が問題かも?寝不足による頭痛の原因と症状

2020年3月12日 公開 / 2020年11月9日更新

テーマ:頭痛の症状・原因

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: マインドフルネス頭痛 原因

いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は本当に気持ちのよい晴天の日

WHOが新型肺炎(COVID19)をパンデミックと指定しました。
COVID19を予防するためには十分な睡眠も必要です。

今回は頭痛の原因としての睡眠不足について書いてみます。
【概要】
睡眠不足が原因で疲労が蓄積し、頭痛が起きることがあります。
頭痛が起きる原因や痛み方にはさまざまなパターンがあります。
どのようにして頭痛が起こるのか、頭痛のパターン別の対処法や予防について紹介します。

睡眠は疲労を回復するための大切な時間

人間は人生の3分の1近くの時間を睡眠に使っていると言われています。
睡眠時間に個人差はあるものの、一生寝ずに過ごせる人はいません。
なぜなら睡眠中は、体の中にたまった疲れをとる活動が行われているからです。
睡眠中は、成長ホルモンが分泌されています。
このホルモンは、子どもの場合は発育を促進させますが、大人の場合は傷を負った細胞の修復を促し、疲労回復や老化の進行を抑える役割を果たしています。
成長ホルモンは、入眠直後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されています。
夕食の時間が遅い人は、成長ホルモン分泌が妨げられてしまい、疲労がとれにくくなります。
夕食は就寝4時間前までには終わらせること、その後間食をしないことが成長ホルモン分泌のポイントです。
人間の体は、疲れた体を回復させる睡眠をスムーズにとるために、別のホルモンも分泌されています。
たとえば
病気で発熱するとぐっすり眠る人が多いのは、薬の副作用だからではありません。
病気の時は、ウイルスに感染し免疫反応が起こりますが、
そのときに分泌されるサイトカインはウイルス増殖を抑えるだけでなく、
脳に働きかけて睡眠を誘発させる働きもあります。
睡眠によって、成長ホルモンが分泌されるので体の修復機能が高まり、病気の早期回復が見込めるからです。
またメラトニンと呼ばれるホルモンは、太陽の光を浴びてから15時間後に分泌されるホルモンです。
眠気を誘う特徴があり、脈拍、体温、血圧を低下させ、自然な眠りにつくためのホルモンです。
体に眠りの準備をさせる役割をしています。

睡眠不足が生み出すストレス

私たちは、仕事や家事などで忙しい時や、心配事などが原因で睡眠不足になることがあります。
理想の睡眠時間は人によって変わりますが、健康や長寿に関しては、7時間の睡眠時間をとることが最も良いという調査結果が出ています。
また、睡眠時間が7~8時間確保できている人であれば、心臓病の発生率が低いという調査結果もあります。
そして
睡眠時間が6時間を切ると、睡眠不足と感じる人が多くなるといわれています。
眠りにつくと最初の2~3時間で成長ホルモンが分泌されます。
そのホルモンが体全体に到達して機能するまでに6時間ほどかかるといわれています。
睡眠の時間が短くなればなるほど、睡眠中に分泌されて体を回復させる成長ホルモンが十分に働かないことから、疲れがとれにくくなっていきます。
疲れはストレスとなって、肩こりや体のだるさ、眠気など、色々な不調となって日中にも現れます。
疲れが頭痛へと
たまった疲れは、身体的なものもあれば、精神的なものもあります。
このような疲れは、体に影響を与えます。
体の疲れの代表的なものに、肩こりがあります。
これは、デスクワーク中心の人に多くみられます。
会社が始まる午前9時から午後5時ごろまで、ほぼ6~7時間をずっと座ったままパソコンの画面とにらめっこしながら仕事をしていると、手先以外はほとんど動かさないため、血液循環が悪くなってきます。
酸素を体中に送り、乳酸などの疲れの物質をとる血液の働きが低下していくと、体の疲れが「凝り」となって、肩や首などに出てきます。
肩こりが悪化すれば、後頭部にかけて凝りが広がり頭痛の症状も現れてきます。

睡眠不足が原因で起こる頭痛にはどんなものがある?

肩こりが広がって頭に痛みが出るのは、「緊張型頭痛」と言われています。
この頭痛の場合は、定期的に体を動かして血液循環を促すことで、体の「凝り」や頭痛をある程度は和らげることができます。
緊張型頭痛は、仕事の合間のちょっとしたストレッチに加えて、時間を作ってジムに通って筋トレする、ヨガを習う、マッサージをしてもらうなど、体を動かすことを増やせば、頭痛解消に役立ちます。

緊張型頭痛の他に「片頭痛」も疲労が原因で起こる頭痛です。

この頭痛は、体の疲れや精神的なストレスによって、血管が拡張や収縮を繰り返します。
ストレスによって、顔や脳を取り囲んでいる硬膜の感覚を脳に伝える働きをする「三叉神経(さんさしんけい)」が刺激されます。
それがさらに血管を拡張して頭の痛みとなって出るのです。
心臓の拍動に合わせてズキズキと痛むのが特徴です。
片頭痛の場合は、血管の拡張を抑えるために患部を冷やすことが応急処置となります。
頭痛の時に、体を温める入浴は症状を悪化させることにもなるため控えてください。
*片頭痛はストレスで誘発されますが、ストレスから解放されるときにも誘発されます。

群発頭痛

緊張型頭痛、片頭痛に加えて「群発頭痛」も睡眠不足から発症しやすい頭痛のひとつです。
原因はまだはっきりとはわかっていませんが、頭痛がする期間や時間に規則性があること、そして激しく痛むことが特徴です。
痛みがひどいので、目の充血や鼻水などの症状も出ることがあります。
この頭痛の原因はまだ明らかにされておらず、頭痛期間中に飲酒すると100%近くの確率で頭痛の発作が起きることぐらいしかわかっていません。しかし
頭痛が起こる直前に鎮痛薬を飲んだり、点鼻薬を利用したりすることで痛みをコントロールすることは可能です。
(皮下注射・在宅酸素療法なども)

頭痛予防は「疲れを残さない」睡眠が第一

これらの頭痛は、頭痛が起こる経緯や痛み方などは違います。
睡眠不足で疲れがたまった状態から起こることは共通しています。
頭痛であれ肩こり、腰痛、イライラなど、体にとってマイナスの症状はすべて「寝不足」が発端となっています。
生活のリズムが乱れていないか、日々の生活を振り返ることからはじめてみましょう。

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