依頼者の思いをしっかり聞いて、「遺品整理」や「生前整理」の悩みや不安を解消（3/3）

よりよい人生のために「生前整理」の相談も

　「葬儀のご依頼をいただいて、いろいろ話しているうちに『実は故人が残した品がたくさんあって困っている』『処分方法が分からなくて』など、遺品の相談も伺うようになって。そこで知ったのが、遺品整理士という仕事でした」。葬祭に携わるなかで、数々の“死”を見つめてきた阿部さん。「葬儀は、悲しい別れの儀式。一方で、故人の人柄や思いにふれ、家族とのつながりや命の大切さを知る儀式でもあります。遺品整理も同じです。昔の懐かしい写真が出てきたり、故人の思いあふれる意外なものを発見したり…。遺品整理を経験して、家族の絆や命の大切さを改めて実感する方は多いんですよ」。遺品は、故人の生きた証。遺品整理は、故人のからメッセージにふれる大切な時間ともいえます。阿部さんは「遺品整理士の仕事を通して、命の大切さ、生きることの素晴らしさを伝えていきたい」と語ります。

　人生の終末を見据えて、よりよい生き方を考える「終活」が注目を集めています。そのなかで、遺品の「生前整理」の相談も寄せられているといいます。「子供が遠方に住んでいるので負担をかけたくない」「施設への入居を機会に部屋を整理したい」「近親者がいないので自分で整理しておきたい」「死後、どのように整理をしたいか思いを聞いてほしい」など、さまざまな相談を阿部さんはじっくり聞いて、一緒に考えます。「親身になってお話しを伺います。一業者ではありますが、家族のような感覚で遠慮なく悩みを話していただけたらうれしいですね。思いを聞き、不安を軽くすることも私たちの大切な仕事だと思っています」

（取材年月：2016年11月）

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